そのタップ深さ、そんなに必要ですか?
NPSでは、タップ加工のご注文を数多く頂きます。
その中で時々、タップが無駄に深く設計されている図面を目にすることがあります。
コストダウンの面からも、強度の面から見ても、デメリットでしかない場合があります。
今回はタップの深さ、太さの関係をお話します。
2021.02.03
ボルトの頭が六角形の形をした『キャップボルト(六角穴付きボルト)』を使う場合、頭が飛び出ないように、締結力を強くするために『ザグリ』加工をおこないます。
ボルト一つ、あなどるなかれ。ボルトのサイズ、ザグリの深さがとても重要で、最後の仕上がりの明暗を分けてしまいます。
NPS®からのお願いです!『この一手間』を忘れないでください!!
機械部品の締結や組み立てによく使われる『キャップボルト』。
六角レンチで簡単に締め付けられることが特徴ですね。
そのまんまの名前ですが『六角穴付きボルト』とも呼ばれています。
今回は、このキャップボルトを使うネジ穴加工を依頼する時に、『この一手間で、きれいな仕上がりになるよ!』というお話です。
(皿ネジを使う時は、『皿モミ編』をご覧ください)
では、詳しく説明していきます!
まずは最初に、『キャップボルト(六角穴付きボルト)』のお話から。
『キャップボルト』はこんな形状をしています。
六角レンチを使って締めるボルトで、狭いスペースでも強い締め付けが可能で、さまざまな箇所で登場します。
しかし狭いスペースでこのボルトを使用した時、狭いゆえに奥にある部品をメンテナンスする時にボルトの頭部が邪魔だったり、怪我をしたり、思ったほどしっかり締まらない、なんてことはありませんか?
そんな時は単純で、ボルトの頭部が邪魔なら引っ込めたらいいんじゃないの?ということになりますね。
そんな時には、救世主『ザグリ加工』という金属加工を頼んでみてください!
単にタップ加工(ネジ穴)を開けるのではなく、ボルトの頭部の出っ張り問題を解決しつつ、締まりを良くする加工です。
実はこのザグリ加工、『ザグリ加工』と『深ザグリ加工』があります。
もともと、ザグリ加工は『座ぐり』とも書き、名前の通りボルトの頭部の首が当たる周辺の金属面を平らしつつ、頭部の直径分を広げて座りをよくするだけの加工です。
さらに『ザグリ加工』+頭部の高さ分掘ってしまい出っ張らなくする加工 のことを『深ザクリ加工』と言います。
最近では、この『深ザグリ加工』が主流になって、『深ザグリ加工』=『ザグリ加工』になっています。
NPS®でも、『ザグリ加工』を依頼していただくと『深ザグリ加工』をおこないます。
ところで、キャップボルトの頭部が出っ張らないザグリ加工を施すことによって、こんなことができるようになるんです!
いいですね!
まずは大事な身の安全。頭部の出っ張りがなくなるということは、ボルトに引っかかるというケガや事故を防ぐことができますね!
また、他の部品や工具との干渉も防ぐことができるので、作業効率もアップ!
忙しい日々の中で作業時間が短縮されると助かりますね。
他にも、ボルトの緩みを予防することができたり、見た目も整えることができます。
最近では、デザイン性が求められるところでも多く使用されているみたいですよ!
ザグリ加工、一石二丁どころではなく一石四丁…。
これは、素晴らしい!!
ただし「キャップボルトの頭部が飛び出てもいいよ!」と、ザグリ加工をしなくても良い場合は、だたのボルトの溝だけをきるタップ加工をオーダーしてくださいね。
『ザグリ加工』は頭部が収まるように2段階の穴を開けるので、コストが高くなります。たくさんの部品を依頼すると、チリツモです。
さて、そんなザグリ加工ですが、NPS®にザグリ加工を依頼したい時はどうしたらいいの?という『一手間をかけて欲しい』という結論をお伝えします。
基本的には、キャップボルトの頭部がすっぽりと収まるようにする深さは決まっています。
下の表に書いてあるキャップボルトの呼び方に合った深さで加工していきます。
ザグリの深さ寸法
キャップボルトの呼び方 | ザグリの深さ(mm) |
M3 | 3.3 |
M4 | 4.4 |
M5 | 5.4 |
M6 | 6.5 |
M8 | 8.6 |
M10 | 10.8 |
M12 | 13 |
M14 | 15.2 |
M16 | 17.5 |
M18 | 19.5 |
M20 | 21.5 |
M22 | 23.5 |
M24 | 25.5 |
M27 | 29 |
M30 | 32 |
そのため、図面にこんな風に書いてください。
『キャップボルトのサイズ +キャップボルト用ザグリ』と書くだけです!
使うキャップボルトと加工の名前(ザグリ)を書いてください。
例えば『M4 キャップボルト用ザグリ』と書いてください。
しかし用途によってはザグリの深さを指定したい時もありますよね。
そんな時は、
『キャップボルトのサイズ +キャップボルト用+ザグリの深さ』と書くだけです!
使うキャップボルトと加工の名前(ザグリ)とザグリの深さを書いてください。
例えば『M4 キャップボルト用ザグリ深さ8』と書いてください。
以前にお話をした『皿モミ』。
ザグリ加工と皿モミ、一体なにが違うのかおさらいもしておきましょう。
どちらもボルト、ネジの頭部の出っ張りをなくす加工は同じですね。
『キャップボルト(六角穴付きボルト)』を使う時は『ザグリ』、
『皿ボルト(ネジ)』を使う時は『皿モミ(皿ザグリ)』と覚えてください。
時間が無い中で結果を求められ、出る杭は打たれがちな難しい世の中ですが、
キャップボルトと皿ネジは、周りの調和を生かして出っぱらないようにしませんか?
ザグリ加工でざっくり穴を開けて見た目も身の安全も守ってもらいましょう!
ザグリ加工が必要な金属部品が必要なら、こちらからぜひご依頼ください!
ご相談もお待ちしています!!
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