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最強のアルミ、その名も“超々ジュラルミン”

アルミの特性と言えば、軽さのわりに強度があること!
とは言え、鉄やステンレスと比べると柔らかいため、一般的には強度を最優先にする場合は選ばない素材です。
しかしアルミと言っても120種類もあるので、探せば強いアルミがあるんじゃない?ということで、今回は『最強のアルミ』を探してみましょう!

NPS®でもステンレス、鉄の次にご注文数が多いのがアルミ。

以前に、アルミのデメリットを補完できる表面処理『アルマイト処理』を施す手法をご紹介した時に特性もご紹介しました。
今一度、おさらいをしておきましょう!

アルミの特性はやっぱり、弱い?

アルミの特性を『アルマイト処理』の紹介記事で、『軽くて強い』と言っていますが、誤解のないように言うと比強度(強度を密度で割った値)が高いということで、『軽いわりに強い』ということです。

他にもアルミの良いところは…

  • 加工性が良い(塑性加工・切削加工)
  • それなりに溶接しやすい
  • 引っ張り・たわみに強い
  • 耐食性が良い
  • 導電性が良い
  • 磁場に影響されない
  • 熱伝導率が良い
  • 低温に強い
  • 真空特性が良い
  • 光や熱を反射する
  • 毒性が無い
  • リサイクルしやすい
  • ステンレスと比べてコストが安い

といった特性があります。

でも、一般的に比強度が高いと言っても『強さ』だけで比較するとステンレスや鉄には敵いません。
加工性が良いということは、ステンレスや鉄に比べて柔らかいという・・・そういうことですよね・・・。

しかし!アルミと言っても純度99%の『純アルミ』や、さまざまな特性をプラスするために銅やマンガン、マグネシウムなどを混ぜた『アルミニウム合金』があり、JIS規格に載っている合金の番号を数えただけでも49種類!
となると、強度があるアルミもあるんじゃないの?と考える訳です!!

それにしてもどうして、金属ってヤツはそんなにも種類があるのかと途方に暮れますが、そこはさまざまな状況に役立つために、アルミの欠点を補おうと各メーカーさんが研究開発された賜物なんですね、感謝。感謝。

最も強いアルミはA7075!

早速、結論から入りましたが、強いアルミニウム合金の見つけ方、お教えします。

まずは、JIS規格で添加されている物質だったり比率によって7つのグループに分けられます。

添加JIS合金名特徴
純アルミ系アルミ1000系強さを求めないならこれ。耐食性に優れている。アルマイト処理をすると発色が良くなるので、装飾製品向き。1円玉もこれ。
代表格:A1050、A1100
アルミ銅マグネシウム合金アルミ2000系鉄に引けを取らない強度があり切削性に優れている、耐食に弱い。
代表格:A2024、A2017
アルミマンガン合金アルミ3000系純アルミに比べて強度がある。
アルミマグネシウム合金アルミ5000系メジャーな合金。溶接性に優れている。
代表格:A5052(NPS®常時在庫品)、A5083 
アルミマグネシウムシリコン合金アルミ6000系強度、耐食性UP。電気電動率も高い。押出加工向き。
代表格:A6061、A6063
アルミ亜鉛マグネシウム合金アルミ7000系最も強度のあるアルミ
代表格:A7075
アルミリチウム合金アルミ8000系2000系、5000系、7000系などにリチウムを添加し、高剛性を高めた。

こうやって見ると、いろいろな物質が混ざっていることが分かりますね。
その中でも、亜鉛とマグネシウムを含有する7000系のアルミニウム合金に注目です。
7000系は、強度を上げるために熱処理(時効硬化)をしていて、曲げや引っ張りに強い性質を持っています。また、銅を含むA7075は超々ジュラルミンと呼ばれ、これが最強のアルミなんです。

“最強”と言っていますが、具体的に言うと鉄とほぼ同等!
定番アルミA5052の約2.5倍の強度があります。
しかも硬度もある、まさに『最強アルミ・A7075』!

また、名前もスゴくないですか?!
『超々ジュラルミン』
いかにも強そうでカッコいい名前!!

映画やテレビドラマで、犯人に身代金を渡す時に現金を入れるあのアタッシュケースを『ジュラルミンケース』なんて呼びますよね。
あれ、正しく訳すと『マグネシウムと銅を含有した鉄と同じぐらい強いのに、鉄の1/3の軽さしかないアルミニウム合金製のケース』ってことになります!

そんな『ジュラルミン』と呼ばれるアルミニウム合金ですが、A7075の『超々ジュラルミン』のように3種類の『ジュラルミン』があります。

合金番号名称特徴
A2017ジュラルミンジュラルミンケースに使われているのはこれ。
硬度 105HB。銅3.5~4.5%、マグネシウム0.40~0.80%含有。
A2024超ジュラルミン硬度 120HB。銅3.8~4.9%、マグネシウム1.2~1.8%含有。
A7075超々ジュラルミン硬度 160HB。銅1.2〜2.0%、マグネシウム2.5%の他に亜鉛(Zn)5.5%も含有。

この3種類の『ジュラルミン』の中で、最高硬度を誇るA7075には、最高ランクの超々の称号が与えられているのです。
このA7075は航空機産業で大活躍し、機体の軽量化に大いに貢献しているそうです。鉄の1/3程度の軽さなのに、鉄と同等の強さがあるなんて、夢のようなアルミです。

しかし最強アルミの称号を欲しいままにするA7075でも、デメリットがあります。
銅を含んでいるため、A5052に比べて耐食性が劣り、粒界腐食(内部腐食)が起こりやすいと言われています。
耐食性も必要な場合はアルマイト処理など、しっかりとした防腐処理が必要です。
また、曲げると割れてしまうので曲げ加工ができません。また溶接はほぼできないに等しいので、形状にはご注意ください。
さらに、強いといってもアルミなので金属疲労が起こりやすく、さらに価格も高いのでご注意くださいね!

A7075のように強いアルミが必要な時や材料選定に迷ったら、お気軽にこちらからご相談ください!

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