1. HOME
  2. 許せる?許せない?公差の世界〈切削加工編〉

許せる?許せない?公差の世界〈切削加工編〉

金属加工を注文する際に図面に書くサイズと
実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても原材料、設備、作業者、作業方法により誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、そのサイズ幅・許容範囲を『公差』といいます。

この『公差』、上手く“許せる箇所”・“許せない箇所”を決めてあげると、コストや納期の面で良い恩恵があります。

前回は、〈板金編〉のお話をしましたが、今回は〈切削編〉。
加工方法によって要求できる『公差』が違うので、「ここの部品は板金だな」「ここの部品は切削だな」とご自身の図面を思い出しながら読んでみてください。

板金と切削では、求められる公差は違う

公差とは、指定されたサイズからズレていても許せる範囲のことです。
このサイズの範囲は、最大(上限)と最小(下限)で指定します。

前回の〈板金加工編〉の“おさらい”も兼ねて、図解しますね。

思い出していただけたでしょうか?

勘がいい方なら、前回の記事で〈板金加工編〉となっていたので、続編があるな?と思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ご名答!今回は、続編・切削加工(機械加工)の公差のお話です。
ここで大事なポイントは、『公差と言っても板金と切削では求められる差が違う』です。

加工の機械を思い出してもらうと、当然ですよね。
最新鋭のマシニングセンタの精度たるものや、それはそれはスゴいですよね。

切削加工なら『精級』を見よ。

今回も、まずはJISで定められた基準値である『一般公差(普通公差)』を4つの表で紹介していきます。
※JIS B 0405:1991より抜粋

長さ寸法に対する公差

公差等級 基準寸法の区分
記号・説明 0.5※以上
3以下
3を超え
6以下
6を超え
30以下
30を超え
120以下
120を超え
400以下
400を超え
1000以下
1000を超え
2000以下
2000を超え
4000以下
f・精級 ±0.05 ±0.05 ±0.1 ±0.15 ±0.2 ±0.3 ±0.5
m・中級 ±0.1 ±0.1 ±0.2 ±0.3 ±0.5 ±0.8 ±1.2 ±2
c・粗級 ±0.2 ±0.3 ±0.5 ±0.8 ±1.2 ±2 ±3 ±4
v・極粗級 ±0.5 ±1 ±1.5 ±2.5 ±4 ±6 ±8

単位:mm
※0.5mm未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する。

角度寸法の公差

公差等級 対象とする角度の短い方の辺の長さ(単位mm)の区分
記号・説明 10以下 10を超え
50以下
50を超え
120以下
120を超え
400以下
400を超え
るもの
f・精級 ±1° ±30′ ±20′ ±10′ ± 5′
m・中級
c・粗級 ±1°30′ ± 1° ±30′ ±15′ ±10′
v・極粗級 ±3° ± 2° ± 1° ±30′ ±20′

この2つの表は、〈板金加工編〉でもご紹介した表です。

これでは、『板金』と『切削』が同じじゃない?
と思われるかもしれませんが、まあまあ…落ち着いてください。

ここで見ていただきたい箇所はそれぞれ左側の『公差等級』です。
それぞれ『f・精級』『m・中級』『c・粗級』『v・極粗級』とある部分です。

切削の場合、長さ・角度の公差は『f・精級』を見てください!
どうです?まあまあ、分かりやすいですよね?
そうでもないですか?どうすか?

切削なら±0.15mmよりも厳しい公差なら、書き込こもう!

「なんだ、結局サイズによって公差が違うし、覚えられない」っていう方
NPS®は、切削加工に関する公差も簡単にしてしまいます!

切削加工をご依頼いただく際は、
±0.15mmよりも厳しい公差の場合のみ、公差を書き込んでください。
具体的に公差が書き込めない場合は、目的を教えてください。

どうですか?これなら、『±0.15mm』と覚えるだけ!

板金は『±0.5mm』、切削は『±0.15mm』

これなら、覚えやすいですよね!

でも、うっかり、板金加工の部品に切削加工の公差を求めたり
その逆も然り!くれぐれもご注意を!!

これで、公差の難易度の下がって、とっつき易くなったのではないですか?

公差指定がある図面も、指定が無い図面も、こちらからNPS®にお送りください。不安な場合はご相談内容に合わせて、設計の意図を汲み取りながらアドバイスいたします。

フォームの『ご相談、ご要望など』の欄に、使用用途や目的を詳しく入力してください。
お待ちしてまーす!

【関連記事】