そのタップ深さ、そんなに必要ですか?
NPSでは、タップ加工のご注文を数多く頂きます。
その中で時々、タップが無駄に深く設計されている図面を目にすることがあります。
コストダウンの面からも、強度の面から見ても、デメリットでしかない場合があります。
今回はタップの深さ、太さの関係をお話します。
2021.02.03
金属加工を注文する際に図面に書くサイズと
実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても原材料、設備、作業者、作業方法により誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、そのサイズ幅・許容範囲を『公差』といいます。
この『公差』、上手く“許せる箇所”・“許せない箇所”を決めてあげると、コストや納期の面で良い恩恵があります。
前回は、〈板金編〉のお話をしましたが、今回は〈切削編〉。
加工方法によって要求できる『公差』が違うので、「ここの部品は板金だな」「ここの部品は切削だな」とご自身の図面を思い出しながら読んでみてください。
公差とは、指定されたサイズからズレていても許せる範囲のことです。
このサイズの範囲は、最大(上限)と最小(下限)で指定します。
前回の〈板金加工編〉の“おさらい”も兼ねて、図解しますね。
思い出していただけたでしょうか?
勘がいい方なら、前回の記事で〈板金加工編〉となっていたので、続編があるな?と思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご名答!今回は、続編・切削加工(機械加工)の公差のお話です。
ここで大事なポイントは、『公差と言っても板金と切削では求められる差が違う』です。
加工の機械を思い出してもらうと、当然ですよね。
最新鋭のマシニングセンタの精度たるものや、それはそれはスゴいですよね。
今回も、まずはJISで定められた基準値である『一般公差(普通公差)』を4つの表で紹介していきます。
※JIS B 0405:1991より抜粋
長さ寸法に対する公差
公差等級 | 基準寸法の区分 | |||||||
記号・説明 | 0.5※以上 3以下 |
3を超え 6以下 |
6を超え 30以下 |
30を超え 120以下 |
120を超え 400以下 |
400を超え 1000以下 |
1000を超え 2000以下 |
2000を超え 4000以下 |
f・精級 | ±0.05 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.15 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | − |
m・中級 | ±0.1 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 |
c・粗級 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 | ±3 | ±4 |
v・極粗級 | − | ±0.5 | ±1 | ±1.5 | ±2.5 | ±4 | ±6 | ±8 |
単位:mm
※0.5mm未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する。
角度寸法の公差
公差等級 | 対象とする角度の短い方の辺の長さ(単位mm)の区分 | ||||
記号・説明 | 10以下 | 10を超え 50以下 |
50を超え 120以下 |
120を超え 400以下 |
400を超え るもの |
f・精級 | ±1° | ±30′ | ±20′ | ±10′ | ± 5′ |
m・中級 | |||||
c・粗級 | ±1°30′ | ± 1° | ±30′ | ±15′ | ±10′ |
v・極粗級 | ±3° | ± 2° | ± 1° | ±30′ | ±20′ |
この2つの表は、〈板金加工編〉でもご紹介した表です。
これでは、『板金』と『切削』が同じじゃない?
と思われるかもしれませんが、まあまあ…落ち着いてください。
ここで見ていただきたい箇所はそれぞれ左側の『公差等級』です。
それぞれ『f・精級』『m・中級』『c・粗級』『v・極粗級』とある部分です。
切削の場合、長さ・角度の公差は『f・精級』を見てください!
どうです?まあまあ、分かりやすいですよね?
そうでもないですか?どうすか?
「なんだ、結局サイズによって公差が違うし、覚えられない」っていう方
NPS®は、切削加工に関する公差も簡単にしてしまいます!
切削加工をご依頼いただく際は、
±0.15mmよりも厳しい公差の場合のみ、公差を書き込んでください。
具体的に公差が書き込めない場合は、目的を教えてください。
どうですか?これなら、『±0.15mm』と覚えるだけ!
板金は『±0.5mm』、切削は『±0.15mm』
これなら、覚えやすいですよね!
でも、うっかり、板金加工の部品に切削加工の公差を求めたり
その逆も然り!くれぐれもご注意を!!
これで、公差の難易度の下がって、とっつき易くなったのではないですか?
公差指定がある図面も、指定が無い図面も、こちらからNPS®にお送りください。不安な場合はご相談内容に合わせて、設計の意図を汲み取りながらアドバイスいたします。
フォームの『ご相談、ご要望など』の欄に、使用用途や目的を詳しく入力してください。
お待ちしてまーす!
【関連記事】
そのタップ深さ、そんなに必要ですか?
NPSでは、タップ加工のご注文を数多く頂きます。
その中で時々、タップが無駄に深く設計されている図面を目にすることがあります。
コストダウンの面からも、強度の面から見ても、デメリットでしかない場合があります。
今回はタップの深さ、太さの関係をお話します。
2021.02.03
角は丸くなるんです
ご依頼図面によく見かける切削加工部『R=0』『ピン角』のご指示。
実際の切削加工(フライス加工)では、この『ピン角』は不可能なんです。
どうしてもどこかの角は“丸くなるんです”。
具体的な例を出して、どうしてどこの“角が丸くなるのか”、ご説明していきます。
気持ちも丸くして、読んでもらえるとうれしいです。
2022.09.06
許せる?許せない?公差の世界〈板金加工編〉
設計者の方は、金属加工を注文する際に図面に寸法を指定されます。でも実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、その寸法幅・許容範囲を『公差』といいます。
許せる箇所が少なければ少ないほど、厳しい精度を求めれば求めるほど・・・
コストに関係してくる『公差』、効率よく『公差』を求めたい時のお話をします。
2022.11.07