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許せる?許せない?公差の世界〈板金加工編〉

設計者の方は、金属加工を注文する際に図面に寸法を指定されます。でも実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、その寸法幅・許容範囲を『公差』といいます。

許せる箇所が少なければ少ないほど、厳しい精度を求めれば求めるほど・・・
コストに関係してくる『公差』、効率よく『公差』を求めたい時のお話をします。

精度を要求したいなら、公差を知ろう

公差、それは精度を左右する重要な単語・・・。
設計者にとっても加工現場にとっても、耳の痛い単語です。

設計者の方は、金属加工を注文する際に図面に寸法を指定されます。でも実際に仕上がった金属加工品との間には、どうしても誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、そのサイズ幅・許容範囲を『公差』といいます。

「許し代(ゆるししろ)」なんて言う人も、居るとか居ないとか。

この公差、どこまで許容できるのか、具体的に図面にサイズ幅を書き込みます。
ただ、どの値にも公差を書き込む必要はありません。
そんなルールを強いられると、図面が値だらけに・・・

そこで、『日本中、この範囲なら許してあげる♡』なんていう基準値をJISが定めていてくれるんです。
ありがたい。ありがたい。
この基準値を一般公差、普通公差と呼びます。

要はこの一般公差から外れる厳しい公差が必要な箇所だけ、図面に値を書き込めばいいんです。
ありがたい。ありがたい。

しかし!!!!!!ということは、書き漏らしていると・・・
どうしても、「ここにきれいに納めないといけない」などの制限があるのに、うっかり公差を書き漏らして、一般公差が適用されてしまって、組立の際にはまらない・・・なんて悲劇は絶対に避けたいものです。

そのために、まずは一般公差を知らないと話が始まりません。

それぞれに公差の指示がない寸法・角度公差

さて板金加工と切削加工では公差が異なります。
ここでは、NPS®が得意とする板金加工の一般公差をご紹介します。

この長さ、角度の2つの表では、『中級』を見てください。

※JIS B 0405:1991より抜粋

長さ寸法に対する公差

公差等級 基準寸法の区分
記号・説明 0.5※以上
3以下
3を超え
6以下
6を超え
30以下
30を超え
120以下
120を超え
400以下
400を超え
1000以下
1000を超え
2000以下
2000を超え
4000以下
f・精級 ±0.05 ±0.05 ±0.1 ±0.15 ±0.2 ±0.3 ±0.5
m・中級 ±0.1 ±0.1 ±0.2 ±0.3 ±0.5 ±0.8 ±1.2 ±2
c・粗級 ±0.2 ±0.3 ±0.5 ±0.8 ±1.2 ±2 ±3 ±4
v・極粗級 ±0.5 ±1 ±1.5 ±2.5 ±4 ±6 ±8

単位:mm
※0.5mm未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する。

角度寸法の公差

公差等級 対象とする角度の短い方の辺の長さ(単位mm)の区分
記号・説明 10以下 10を超え
50以下
50を超え
120以下
120を超え
400以下
400を超え
るもの
f・精級 ±1° ±30′ ±20′ ±10′ ± 5′
m・中級
c・粗級 ±1°30′ ± 1° ±30′ ±15′ ±10′
v・極粗級 ±3° ± 2° ± 1° ±30′ ±20′

金属プレス加工の普通寸法公差

次は、プレス加工です。
打抜きと曲げ・絞りの2つの表では、『B級』を見てください。

※JIS B 0408:1991 より抜粋

打抜きの公差

基準寸法の区分等級・A級等級・B級等級・C級
6以下±0.05±0.1±0.3
6を超え30以下±0.1±0.2±0.5
30を超え120以下±0.15±0.3±0.8
120を超え400以下±0.2±0.5±1.2
400を超え1000以下±0.3±0.8±2
1000を超え2000以下±0.5±1.2±3

単位:mm
備考:等級・A級、B級、C級は、それぞれJIS B 0405の公差等級f、mおよびcに相当する。

曲げ・絞りの公差

基準寸法の区分等級・A級等級・B級等級・C級
6以下±0.1±0.3±0.5
6を超え 30以下±0.2±0.5±1
30を超え120以下±0.3±0.8±1.5
120を超え400以下±0.5±1.2±2.5
400を超え1000以下±0.8±2±4
1000を超え2000以下±1.2±3±6

単位:mm
備考:等級・A級、B級、C級は、それぞれJIS B 0405の公差等級f、mおよびcに相当する。

板金なら±0.5mmよりも厳しい公差なら、書き込こもう!

以上4つ、板金加工の主要な一般交差をご紹介しましたが、いくら『中級を見てね』『B級を見てね』とはいえ、サイズによって公差が違うんです…。
これは、これで覚えられるものじゃないですよね。

そこでNPS®は、板金加工に関する公差をもっと簡単にしました!

板金加工をご依頼いただく際は、
±0.5mmよりも厳しい公差の場合のみ、公差を書き込んでください。
具体的に公差が書き込めない場合は、目的を教えてください。

どうですか?これなら、『±0.5mm』と覚えるだけ!

許せるか、許せないか、それは『±0.5mm』で決める!
くれぐれも、『公差の書き忘れ』だけにはご注意を!

公差指定がある図面も、指定が無い図面も、こちらからNPS®にお送りください。不安な場合はご相談内容に合わせて、アドバイスいたしますので、フォームの『ご相談、ご要望など』の欄に、使用用途や目的を詳しく入力してください。
お待ちしてまーす!

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