許せる?許せない?公差の世界〈板金加工編〉
設計者の方は、金属加工を注文する際に図面に寸法を指定されます。でも実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、その寸法幅・許容範囲を『公差』といいます。
許せる箇所が少なければ少ないほど、厳しい精度を求めれば求めるほど・・・
コストに関係してくる『公差』、効率よく『公差』を求めたい時のお話をします。
2022.11.07
金属加工をご依頼いただく際、出番の多い切断加工。そしてその切断加工を担ってくれるのが、頼もしい“切断3兄弟”の「フライス加工」、「レーザー加工」、「ワイヤー放電加工」という加工方法です。切断加工の中でもささっとできあがる切断から、難易度の高い切断まで、日夜、活躍してくれます。今回は、そんな“切断3兄弟”の長男、次男、三男をご紹介します。
板金加工の中でも出番の多い切断加工。
ステンレス(SUS)、鉄、銅、アルミ・・・毎日、NPSではさまざまな金属材料を切って、切って切りまくっています。
その中でも特に出番の多い切断加工がこの3つ
今回はこの3つの加工方法をNPSの“切断3兄弟”として、それぞれの性格を長所と短所にわけてご紹介し、みなさまのオーダーメイド部品製作をご依頼いただく際の参考にしてもらえると幸いです!
さて、共通点としては『切断加工』ですが、「今日の気分はフライス加工」という訳にはならず、当然、「こんな時はコレを使う」という前提があります。
まずは、簡単にどんな加工かご紹介していきます。
【長男】レーザー加工
高エネルギーのレーザー光線を工作物に照射し、その熱エネルギーを利用して材料を溶融、蒸発、燃焼、または化学反応させることで、切断する非接触加工の一種です。
簡単に言うと、強力な光のメスを使って、さまざまな素材を精密に切断してくれる感じです。光が花火のように飛び散るので、ちょっとチャラい見た目ですが、切断する様子は、よく切れる光線でスーーーーーッと切っていくので、見た目と違って根は真面目な子です。
【次男】フライス加工
高速で回転する切削工具(フライス)を用いて、固定された工作物を削り、目的の形状に加工します。
簡単に言うと、大工さんがいろいろな種類のノミやカンナを使いわけて木材をゴリゴリ削っていく感じに似ているかもしれません。
とにかく切削工具の種類が多く、手動で動かす『汎用フライス盤』や自動制御で動く『NCフライス盤』があります。
ちょっと古風なところもありますが、長男と三男に挟まれ、しっかり者といった感じです。
「切削工具をフライスって呼ぶんだ」って思った方は、挙手してください。はーーーい!
【三男】ワイヤー放電加工
細い金属のワイヤー線に電気を流し、そのワイヤーと工作物との間で連続的に放電を起こし、その熱エネルギーによって材料を少しずつ溶かして切断していく放電加工の一種で、これも非接触加工です。
簡単に言うと、強力な光のメスを使って、いろいろな素材を精密に切断してくれる感じです。と簡単に言いましたが、一番、この子がクセ強です。この子、金属を溶かすんです。しかも高熱が加わると金属は伸びてしまう、加工後は冷やされ縮んでしまう変形を抑えるために『加工液(水や油)』の中にドボン!と潜らせながら加工をします。ツンデレを上手く使いこなし、壁ドンしてくるような押しが強い子です。罪な男です。
ざっと三者三様具合をご紹介しましたが、みんなNPSの頑張り屋さんです。
もっと詳しく知っていただきたいので、今度は大真面目に技術的な視点で、メリットとデメリットをご紹介します。
すると、やっぱり、いろいろありまして…。
下の表の『材質』は「やっぱり何でも切断できる訳じゃないんだ」「向き不向きがあるんだ」が分かります。
『板厚』は、さらに「どれぐらいの金属板が切断できるか」が分かります。
最後、『精度』です。これがなんだかんだ大事ですよね。ここがコストに直結してきますから…。
材質 | 板厚 | 精度 | |
長男 レーザー加工 | SS:向いています SUS:向いています アルミ:比較的向いています 銅:かなり頑張らないといけません | SS:00mmまで SUS:12mmまで アルミ:12mm 銅:8mm | ±0.08 |
次男 フライス加工 | アルミ:最適 SUS・難削材:かなり頑張らないといけません | がんばって100mmまで | ±0.01 |
三男 ワイヤー放電加工 | 電気を通す材料であれば何でも可能 焼き入れ後でも可能 | 255mmまで | ±0.005 |
さて“切削3兄弟”、それぞれの『性格』についてお分かりいただけたでしょうか。
褒めて伸ばしたいところですが、やっぱりそれぞれの特性を生かして活躍してもらうのが、一番のようです。
『精度』については、以前に書いた『許せる?許せない?公差の世界〈板金加工編〉』も合わせてご覧ください。デリケートなここぞ!という箇所に大事になる『公差』も知っていただくと、ご注文がスムーズになったり、お見積もりの“カラクリ”にもご納得いただけるのではないでしょうか。
そんなこんなで、今回は金属加工に必要不可欠な切断加工についてご紹介しましたが、ご注文の内容に適した加工方法を選択し、今日もさらりと部品を製作しています。
ぜひ、ご注文やご相談は、こちらのお問い合わせフォームからお寄せください!
“切削3兄弟”と共に、お待ちしております!!
また、すでにご注文いただいている場合は、届いた金属部品を見て、「あぁ、次男が切ったんだなぁ…」と想いを馳せてみてください。
今後とも、この3兄弟をご贔屓にお願いします。
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許せる?許せない?公差の世界〈板金加工編〉
設計者の方は、金属加工を注文する際に図面に寸法を指定されます。でも実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、その寸法幅・許容範囲を『公差』といいます。
許せる箇所が少なければ少ないほど、厳しい精度を求めれば求めるほど・・・
コストに関係してくる『公差』、効率よく『公差』を求めたい時のお話をします。
2022.11.07
許せる?許せない?公差の世界〈切削加工編〉
金属加工を注文する際に図面に書くサイズと
実際に仕上がった金属加工品との間には、どうじても原材料、設備、作業者、作業方法により誤差が生じます。
この誤差をどこまで許容するか、そのサイズ幅・許容範囲を『公差』といいます。
この『公差』、上手く“許せる箇所”・“許せない箇所”を決めてあげると、コストや納期の面で良い恩恵があります。
前回は、〈板金編〉のお話をしましたが、今回は〈切削編〉。
加工方法によって要求できる『公差』が違うので、「ここの部品は板金だな」「ここの部品は切削だな」とご自身の図面を思い出しながら読んでみてください。
2022.12.01
バカ穴のバカじゃない正しい図面の書き方
『バカ穴』。金属加工の業界では当たり前に使うこの言葉。
なぜ「バカ」なの?と気になったので調べてみたら、以外な結果ではなかったものの、少し寂しくなりました。
でもそんな『バカ穴』も、あなどるなかれ!案ずることなかれ!!多用するからこそ、指定の書き方をぜひ覚えてください。
賢くてスマートな書き方をご紹介します。
2022.12.16